
乳幼児の食生活 悩み解決チェックポイント
栄養士 後町 さん
子どもの好き嫌いや食べ方、食べる量など、食に関する悩みは多々あるのではないでしょうか。
今回は、子育てリラックス館の栄養士 後町さんにお話を伺いました。
悩みは様々だと思いますが、
食事のことだけでなく運動量や環境など生活全体を振り返ってみる必要があります。
その際のチェックポイントを示しますので、思い当たる場合には見直すきっかけにしてください。
1.おなかがすいていますか?
2.子どもにとって楽しい食卓ですか?
3.進歩があったら褒めてあげて
4.「良い方法」に縛られていませんか?
5.気長に気楽に、けれどあきらめず
■ 質問コーナー
Q1.偏食がひどく、野菜を食べない2歳児。どんな工夫をしたらいいでしょうか。
A1.好き嫌いが出るのは味覚が発達した証拠です。成長を喜んであげてください。野菜にはほんのり苦味があったり、ごわごわしたりして食べづらいので嫌がります。とはいえ、あきらめずに出し続けることが大切です。
極端なばっかり食べの場合もありますが、長く続いても2、3ヶ月くらいのものです。「栄養があるのよ!」などと無理強いすると、食事自体が苦痛になることもありますのでNGです。また、「食べるかな?」と不安な顔で出すと、子どもも心配になってしまいます。食べなくても子どもの負担にならないようにスルーし、楽しい雰囲気作りを意識してみてください。お友達と一緒だったり、外でお弁当にしたりすると食べるようになることもあります。一番の近道はパパやママなど身近な人が一緒に食卓につき、「おいしいね!」と喜んで食べている様子を見せ続けることです。そして、少しでも食べられたら一緒に喜んであげてください。「ちょっとだけ食べてみる?わぁ、すごい!」「実は○○が入っていたんだよ。食べられて嬉しいな!」など、克服した達成感を味あわせてあげてください。
小さい頃の好みは変化するので、食べないことがあっても数日あけたり、調理法を変えたりしてみると案外すんなり食べることがあります。また、好みは千差万別ですから、味・大きさ・やわらかさ・食感・温度・見た目など、いろいろ変えて試してみてください。新しい味にチャレンジしてみるのも1つの手です。少量のマヨネーズやほのかなカレー風味、アレルギーがなければゴマ和えなど、これなら食べる!というものが見つかるかもしれません。
Q2.1歳半ですが、食事中、椅子にちゃんと座っていられません。
A2.月齢にもよりますが、何十分も座っていられないものです。5分座っていてくれれば充分だと考えてあげてください。特に1歳前後は歩くのが楽しくて仕方がない頃です。その時期は割り切ることも必要でしょう。2歳くらいになったらお話すればわかる子もいます。
諦めないで「ごはんはここで食べようね」と一度は席に座らせてみてください。すぐにできなくても怒らず、いつも言い聞かせて気長に練習しましょう。習慣なので、そこにいなければ食べられないと分かれば、だんだん座れるようになってきますよ。おかずをフォークに刺してあげたり、手づかみしやすくしてあげたりと楽しい雰囲気作りをしてあげてください。時には「お母さんの膝で食べようか」、などと誘ってみるのもよいかもしれませんね。また、おなかがすいていれば、座って一生懸命食べてくれるかもしれません。
Q3.牛乳ばかり飲みたがります。600ccは多い?
A3.牛乳には栄養があるといっても完全な食品ではありません。牛乳を飲み過ぎると他のものが食べられず、全体の栄養バランスが崩れるという影響が出ます。お茶や水に変えて、牛乳はおおむね400ccくらいでとどめましょう。
Q4.母乳のみで育てていますが、太りすぎていて心配。母乳を制限するべき?
A4.特に制限する必要はありません。太めの赤ちゃんであっても、動き始めたらだんだん体が締まってきますので心配いりませんよ。ただ、「泣かせないようにしたいから」などという理由でむやみに与えているのならちょっと問題です。泣いてもおなかがすいているだけとは限りませんから、あやしたり場所を変えたりして2〜3時間の間隔があくといいですね。臨機応変に対応してみてください。
Q5.牛乳を口から噴き出します。この時期は仕方がないの?(1歳)
A5.牛乳が嫌いでなければ、きっと楽しいからやっているのでしょうね。その時々でその子の楽しいことがあるので、また違うことに興味がいくまでの一過性のものだという割り切りも必要です。
しばらくの間、本人が飲みきれる程度の少なめに注ぐ、噴かれてもかまわない場所で飲ませる、おなかがすいているときだけに与える、などの工夫で乗り切ってください。もし、牛乳が嫌いだから噴き出すようであれば、しばらく与えるのをやめてみてもいいかもしれません。料理に牛乳を使用して、食べられたら褒めてあげてください。
Q6.少食で悩んでいます。遊んでばかりで食べません。
A6.目安量と照らし合わせて、「これ位は食べなくてはいけない」と悩む方もいらっしゃると思います。でも、これはあくまで目安。当てはまる子どもの方がむしろ稀だと思ってください。運動量や体型、体質などの個人差は大きく、食べる量も一人ひとり違っていて当たり前です。また、同じ子どもでも気分や運動量、体調によって食べる量は変わりますから、目安量にとらわれ過ぎないことが大切ですね。少食であっても本人が元気でよく動き、成長曲線に沿って発育しているのであれば、そういう体質なのだとまずは認めてあげてください。
でも、食べないからといって、甘い飲み物やフルーツを与え過ぎてはいませんか?少ない中でもバランスよく食べられていることが大切です。一食ごとの量ではなく、一日の内容をチェックしてみてください。
もし、外食や出来合いの料理だとよく食べるのに家庭の食事は食べないということであれば、少しずつ改善していく必要があるでしょう。出来合いのものは脂肪や塩分、うまみ成分が多い傾向があり、それに慣れてしまうと家庭の料理では物足りなく感じてしまいます。そういう場合は、気長に家庭の味にシフトしていくようにしましょう。
Q7.食事や栄養について、気軽に栄養士さんに相談できる場所はありますか。
A7.リラックス館や保健福祉センターで直接相談を受けられます。また、その他に電話相談などを受け付けている機関もあります。
・かまとり子育てリラックス館(土曜日の午前中)
・おゆみ野中央子育てリラックス館(月1回不定期)
・緑区保健福祉センター
(予約制の個別相談日が設けられています。健康づくり係043-292-2630)