NPO法人 緑区子どもサポートセンター
   第33号 平成 年 月

〜乳幼児期の糖分 とりすぎてませんか?〜


離乳食が後期に入ってくると、様々な食材が食べられるようになりますし、子どもも大人が食べている物に興味を持って欲しがりますね。まして1歳のお誕生日をすぎると、なんとなく赤ちゃんぽさが抜けてきて、何でも食べられるような錯覚に陥りがちです。でも、まだまだ油断は禁物なのです!
大人の食べている物の塩分・糖分・脂質は乳幼児にとっては過分です。
大人と同じ味付けでは濃すぎますし、まして外食や市販品、お菓子・ジュース・アイスなどの嗜好品においては、繰り返し食べたくなる味の魔法にまんまとかかってしまいます。

ヒトの味覚は3歳までの味付けによって左右され、濃い味に慣れてしまうとなかなか薄くすることができません。
ご存知のように濃い味付け=塩分・糖分・脂質過多は生活習慣病にかかるリスクを高めます。
また最近では子どもの生活習慣病も増加しつつあるそうですし、幼児〜学童の肥満も問題になってきています。
そうなって苦しい思いをするのは子どもたち自身です。
でもその原因をつくっているのが親だとすると・・・心苦しいですね。
離乳が完了して幼児食となるこの時期を大切にして、後々に子どもたちが苦しまなくてすむようにしてあげたいものです。

これから気温が上がっていく時期には、喉が渇いて水分補給をする機会も増えます。
現代社会では自動販売機がどこにでもあり、手軽に飲み物を買うことができます。
またキャラクターのついたブリックパックに入ったジュースや乳酸菌飲料も目を引きますし、外出に持って行きやすいので人気ですね。パパやママも手軽に買って飲むことも多いですし、欲しがる子どもに飲ませている姿もよく見かけます。
これらの飲み物には。どれだけの糖分が入っているのでしょうか?
今回は飲み物を中心に糖分含有量を調べてみました。 

■どのくらいの糖分が入ってるの?

独立行政法人 国立健康栄養研究所では「たべナビ君」という書物(吉池信男・玉川ゆかり・中神聡子共著)の中で、
糖分量を3グラムのスティックシュガーに換算表示しています。
3グラムというのは、最近よく見かける細めのスティックシュガー1本です。
なおこのチャートでは製品名までは指定しておりません。
製品によって多少の含有量差がありますので、あくまでも目安として見てください。

意外なことは100%濃縮還元果汁のジュースやトマトジュースにも糖分は多いということですね。
これは砂糖として加えられているわけではありませんが、果物由来の糖分が意外に多いということです。
日々の生活やお出かけ先で、身体にも良さそうと思って気軽に与えがちな100%果汁飲料ですが、どうやら小さな子どもには100CCほどの小さなパックを時々与えるくらいにしたほうが良いようです。

引用:独立行政法人国立健康栄養研究所
    たべナビ君   農民連食品分析センター調査結果
   ※チャート自体が図表示のため、コップ一杯の正式な分量は不明。
 種  類 本  数
3gスティックシュガー換算) 
 100%野菜ジュース1紙パック  3
 100%トマトジュース1杯  3.5
 Y社乳酸菌飲料(乳製品)小型ボトル1本  4
 缶コーヒー小缶1本  6
 100%にんじんジュース1杯  6
 100%グレープフルーツジュース1杯  7
 Y社ヨーグルトドリンクタイプ1本  7
 100%みかんジュース1杯  8
 缶コーヒー大缶1本  8
 100%りんごジュース1杯  9
 乳酸菌飲料1本  9
 100%ぶどうジュース1杯  10
 コーヒー乳飲料1杯  11.5
 サイダー1本  12.5
 O社スポーツドリンク500cc  11.5
 ヨーグルトドリンク  13.5
 コーラ350cc1缶  14
 炭酸飲料350cc1缶  15.5

こうして見ると、何気なく飲んでいるものにも多く含まれていることにちょっと驚きます。
特に大人でも気をつけたほうがよいのは、缶コーヒーだそうです。
お父さんたちは一日に何本か手にしていませんか?
大人では糖分摂取量を一日に20グラムまでとされていますので、朝出勤時に1本、昼食後に1本、残業時に1本となるとちょっと多いです。パパたちにも教えてあげてくださいね。
でも、もっと気をつけたいのは子ども達ですよね。
子育て相談の中で「うちの子は牛乳は飲まないのですが、コーヒー牛乳なら飲むので与えています」というママがおられましたが、この表を見たら驚かれることでしょう。

■乳幼児はどのくらいまで糖分を摂取してよい?

離乳食が完了して、いろいろなお食事ができるようになると、親も一段楽してついつい気が緩みがちですね。
外食レストランに行っても、わざわざ離乳食を持参しなくてもすんで、大人の食事を分けて食べさせてしまいます。
脂肪分たっぷりの洋食、塩分もたっぷりのファストフード、手軽に買える美味しいベーカリーの調理パン・菓子パンなどを毎日食べてませんか?
まだ1歳なのに、甘いお菓子を与えていませんか?
ショッピングモールの某アイスクリーム屋さんでは1〜2歳の子どもが、カラフルなアイスクリームを慣れた手つきで食べる姿を見かけて驚きます。
 
英国ブリストル大学のKATE NORTHSTONE博士らは研究で、「3歳児の時に高脂肪・糖分過多の加工食品中心の食生活の子どもは、その後の幼児期・児童期において知能指数(IQ)が低い傾向があること」を発表しました。
これは見逃せない研究結果です。
(Journal of Epidemiology and Commuity Healthオンライン版2011年2/7号発表)

もちろん生活習慣病罹患リスクも高まり、虫歯予防にとってもよくありませんね。
では数値でいうと、一体何グラムまでとされているのでしょうか?
先ほど書きましたように、成人は20グラムを目標にするように言われています。
帝京科学大学准教授(栄養学)の上田玲子先生は子どもの栄養相談でも実績のある方ですが、この先生によりますと・・・・
1〜2歳では 一日に15グラム!
さきほどの表にある3グラムスティックシュガーで換算すれば、一日に5本です。
あらら・・・・大変!ほとんどがオーバーしていますよ!
またお料理で使う砂糖や調味料もありますから軽く越えてしまいます。

では、最近よく見かけるカロリーゼロや糖分オフという表示の飲料ならよいのでしょうか? 
炭酸飲料にもよくありますね。ママも手にすることが多いのでは?
でも、これらの飲料には甘味料が使用されているわけです。
中には虫歯予防効果があるとして推奨されているキシリトールなどもありますが、ステビアや甘草など天然由来の甘味料も、化学的抽出されているのですし、まして人工甘味料となると、絶対的に安全安心とは言えない実験データもあるようです。

まだ成長段階にある子どもたちには、なるべく与えない方が安心ですし、まだ妊娠出産をする可能性のあるママたち、授乳中のママたちも、ダイエットしたい気持ちはよくわかりますが、次世代の為にもなるべく避けた方が安心かもしれませんね。
幼い頃の嗜好が思春期以降の食生活にも大いに影響を与えてしまいます。
さあ、今のうちに気をつけることが肝心ですから、さっそく毎日の飲み物や食事に目を向けてみてください。