NPO法人 緑区子どもサポートセンター
   第48号 平成26年12月

子どもの足の健康な成長と正しい靴の選び方



九月二十四日、おゆみ野中央子育てリラックス館にて、「子どもの足の成長と靴の選び方」というテーマで、
お話と足の計測会をさせて頂きました。
多くの子どもたちとパパママに参加頂き、みなさん熱心に話を聞いて下さいました。

 最近、子どもの足のトラブルについて、テレビや新聞で報道される機会が増えてきました。
具体的には、「外反母趾」「内反小趾」「扁平足」「浮きゆび」というような足のゆびの変形ですが、
それがさらには、膝や腰、全身の問題、姿勢の悪さ、落ち着きのなさといった情緒的な面にまで
影響を与えるという研究者もいます。
では、子どもの足のトラブルを予防するには、どういったことに気をつければいいのでしょうか。
パパママに気をつけてほしいことについてお話します。

原因1 間違ったサイズの靴
足のトラブルを抱える子どもの足を計測して、靴をみます。
するとほとんどの子が、足の本当のサイズよりだいぶ大きなサイズの靴を履いています。
これが足のトラブルの原因です。
「外反母趾」は、女性の細いハイヒールが原因と思われている方が多いので、
意外に思われる方も多いのですが、本当です。
最近は子どももオシャレな靴を履いているといっても、
小学生の女の子がそれほど高いヒールの靴を履いて通学しているものではありません。
でも、小学生で既に変形がかなり進んでいて、
痛みで歩いて登校できないという深刻な悩みを抱えている子も相談に来ます。
書店に並んでいる足靴関連の書籍にも同様の事が書かれていますので、一読されることをオススメします。
つまり、ぶかぶか靴の中で足が靴に衝突を繰り返したり、脱げないように常に力の入った状態になっていると、
足のトラブルを招くという理屈です。

原因2幼少期の運動不足
 この話を初めて知ったとき、私は一つ疑問に思いました。
「子どもがだぶだぶの靴を履いているのは昔からではないか?」と。
兄弟のおさがりの靴などで、サイズなどあまり気にせず履いていたものです。
でも私自身の子ども時代は足にトラブルはなく野山を駆け回って遊んでいましたし、
小学校の同級生で足が痛いと言っていた子の記憶はありません。
なのになぜ今の子どもたちは、靴にそんなに気をつかわなければならないのでしょうか?
この疑問の答えはなかなか見つからなかったのですが、
最近、ある整形外科の先生が長年継続した保育園児の足の調査結果に出会い、答えを得ることができました。
それは、「運動不足」だったのです。
運動習慣がない、車での通園、そういう子は足の成長が不十分であり、足
のトラブルを招きやすいことがはっきりと調査結果に示されていました。

 最近、私の住む緑区土気でブティックを現役で経営されている八十代の女性の足を拝見しました。
この方も適切でないサイズの靴を履いていらっしゃるのですが、ゆびの変形がなく、きれいでまっすぐなのです。
年齢を感じさせず、毎日元気にお仕事を続けられています。
お話を伺うと、戦前のお生まれで田舎で育ち、子どもの頃は靴も満足になかった、
裸足で走りまわって育ったから、今でも裸足で歩くと元気になる!とおっしゃっていました。
今の子どもたちに裸足で元気に遊びなさい!と言っても、それが可能な環境が周囲にないのが現実です。
でも自然豊かな緑区ならば、パパママの意識次第で、ときどきでも子どもたちを土の上で、
裸足のまま自由に遊ばせてあげることができるのではないでしょうか。


正しい靴の選び方
 さて、ここまでで、子どもには「ぶかぶか靴を履かせない」「いっぱい運動させる」ことが大切というお話をしました。
次にするのは具体的な靴の選び方についてのお話です。
子どもの靴をどうやって選んであげていますか?千円以下の安価の靴から一万円を超える高価な靴まであります。
テレビで有名子役が宣伝していたり、人気のキャラクターがついていたりして、
お友達みんなが履いている靴というのもありますね。
女の子が「かわいい靴を履きたい!」と言うのは当然です。
親としては、子どもの足にいい靴を履かせたいという思いもあるので、靴屋さんで結構悩むものです。
 まずは子どもの足を計測してもらいましょう。
最近、計測器を置いている店舗が増えてきました。
それで、例えば足の縦の長さが15.3センチだとします。
この場合、適切な靴のサイズというのは、15.5センチになります。
そこで、靴を出してきてもらうのですが・・・「メーカーによって、合うものと合わないのがあるのよね」
と思われたことがあると思います。
靴の形状もそれぞれ違うものですが、そもそも表記が15.5センチでも、靴の実寸はそれぞれ全く違うものなのです。
靴の中敷きをひっぱり出して定規を当ててみてください。
16.0センチのものもあれば、16.5センチのものもあるでしょう。
ならば、選ぶ方もそのことを承知した上で選びましょう。
中敷きの上に子どもを立たせて、ぴったり踵を合わせます。
一番長いゆびから中敷きの先端まで、どれだけ余っていますか?
よく1センチの余裕がいいと言われていますが、それは大人の話で、小学生までの子どものサイズであれば、それではあまり過ぎです。
6 8ミリの余裕が理想的と言われます。
靴屋さんでそうやって適切なサイズの靴を探してください。
その靴屋さんで、足の幅まで計測して靴を選ぶことができるのであればより理想的です。

 サイズ以外の靴選びのポイントもいくつかあります。
まずは「マジックテープの数が多いか幅が広いこと」。
しっかりと足を靴にフィットさせることが重要なのです。
紐の方が細かい調整ができますが、まだ自分で結べない年齢であれば、マジックテープで構いません。
次に「踵部分にある程度固さがあること」子どもの足のレントゲン写真を撮ると、
まだ骨が大人のように十分に形成されていないことがわかります。
不安定な子どもの足には、踵部分に適度な固さがあって、安定性を重視した靴がいいと言われます。
もう一つ挙げるとすれば、「ゆびのつけねで曲がること」靴の前後を軽く持って曲げてみてください。
ゆびのつけねのところで曲がってくれる靴が走りやすいですね。

以上のようなポイントを押さえて靴を選んでもらえれば、必ずしも高額なものにこだわる必要はないと思います。
女の子が見た目重視の靴を欲しがるのであれば、パパママがTPOを考えて選んであげてください。
「公園で遊ぶときはこっちの靴にしようね」ということです。
靴というのは大事なファッションアイテムでもあるので、
子どもの頃から、その場に合わせた靴選びをすることを教えることも大切です。
場に応じたと言えば、最近テレビでよくみる子どもに大人気のあの子ども靴ですが、
「左右非対称」「コーナーで勝つ!」という点が専門家にはすこぶる評判が悪く、
毎日履くと身体が傾いて悪影響とまで言う医師もいます。
運動会当日のみ履くべき靴なのでしょうね。

正しい靴の履き方
どれだけいい靴選びをしても、履き方が間違っていたら台無しです。
パパママに靴紐を毎日締め直す習慣がなければ要注意!正しい靴の履き方とは
「踵トントン」「ベルト(紐)をぎゅっと」です。
子どもにそれを教えても、保育園や学校でそうしていない子を見ると、習慣化されません。
「そうやって履くと速く走れるようになるんだよ!」って教えてあげてください。
実際、靴の履き方で、50m走のタイムは相当かわります!走るのが苦手と言っている子が、合ったサイズの靴にして、履き方を教えてもらったたら、
気持ち良かったんでしょうね、その場から、びゅーんと走っていってしまうこともあるんです。

私にも十か月になる娘がいます。
子どもの健康な成長を願わない親はいません。
「あれがいい、これがいい」という情報が溢れている現代で、日々、悩みながら右往左往して子育てをしています。
そんな自分は、寝る前に娘の足をみて触れることだけは毎日続けています。
この子がおばあちゃんになっても、元気に自分の足で好きなところへ歩き続けてくれることを願って足をさすり、
そのかわいらしさに癒されて一日を終えます。
 毎日でなくても構いません。
月に一度 でも子どもの足に触れ、靴をみてください。
そのときには靴から中敷きを出して、子どもの足に当ててみてくださいね。
買い替え時がわかります。
ぴったりサイズを履かせていると、2 3か月に一度は、買い替えることになるかもしれません。
そんなふうに、パパママが子どもの足に触れる時間は、
子どもの成長を感じる大切なふれあいの時間になることでしょう♪
そうそう、子どもの足だけでなく、自分の足や靴にも関心を持って、元気に歩いていないと、
楽しい老後は過ごせませんよ!


酒井洋平
NPOオーソティックスソサエティー
認定 フットケアトレーナー
インソール工房あんご(緑区土気)