NPO法人 緑区子どもサポートセンター
   第45号 平成26年3月

「子ども企画・逃走中」への道



 今回は土曜あそび塾で半期に一度取り組んでいる「子ども企画」の1コマをご紹介します。
プロの方を講師に招く体験活動とは、一味違った楽しさがあります。



「逃走中」をやりたいな!
1月19日あそび塾の終了後、
子どもたちを集め3月の子ども企画で何をしたいか聞いてみました。
これまで、『お化け屋敷』『夏祭り』『秘密の基地づくり』
『豆まきと恵方巻き作り』などをやったことや、
今日は早くに帰ったKちゃんはクッキー作りをやりたいって言っていたことを話すと、
まず、Yくんが口火を切りました。
「あそび塾はさ、男子が少ないんだから絶対男の子が面白いことをやりたいよ!」
Uくんが加勢します。
「そうだよ!料理なんか絶対やだ!」
「火を起こして、かまどで料理作るのはどう?」と大人。
「それでも絶対やだ!」
男の子2人の決意は固いようです。
「3月はまだ寒いから体育館とか室内がいいな、、、。」
「僕は花粉症なんだから、昭和の森なんかじゃ何にもできないよ!」
いろいろな意見が出た後、Uくんがぽつりと「逃走中がやりたいな。」と言いました。
Cちゃんの目がきらりと光り、ぐぐっと身をのり出してきました。

私は「逃走中」という番組を見たことがなかったので、
子どもたちが次々と内容を説明してくれます。
なんだかよくわからないけど、とにかく何かおもしろそう!
子どもたちの顔がわくわくしているのが、伝わってきました。
「体育館じゃ、ただの鬼ごっこになっちゃうよ。」
「昭和の森なら隠れるとこがあるんじゃない?」花粉症の心配はなくなったようです。
「でも、逃走中は携帯に指令が来るんだよね。」
どうやって、指令を受けとるかが問題になりました。
「指令の紙を受けとって、決められた時間になったら開くとか…」
「でも約束を守らないで見ちゃう子がいるとなあ・・」
みんなからいろいろなアイディアがだされました。

―これまでも夜の「お化け屋敷」「夏祭り」で子どもがお店を出すなど、
少々 難しい活動にも取り組んできました。
いろんなアイディアを出し合い、子どもが実現できるよう大人は見守ります。−

3月に下見をする事と指令を受けとる方法を次回あそび塾までに考えてこようと決めて、
この日は解散となりました。
終了後もUちゃんが駆け寄ってきて、
指令を出すアイディアをいろいろ話してくれました。

ところが、前日が静岡で公演だった「こまのたけちゃん」から東名高速で全く動けず、
戻れないと連絡があり急遽2月のあそび塾は中止になってしまいました。
みんなの気持ちがしぼんでしまわないか、ちょっと心配。

3月9日、逃走中本番に向けて、昭和の森の下見です。
久しぶりに訪れた昭和の森は随分すっきりとしていました。
うっそうとしていた杉の木は、間伐整備がされすっきりとしています。
森の中に隠れても、思ったよりもみつかってしまいそう!
Mちゃんに「白いオーバーすぐわかるよ!」と言われました。
当日は木陰で目立たない色の服装で参加することが大事ですね。
ユース前広場から階段を下り、池の先まで歩きます。
この一直線の道を歩きながら、ここでハンターに見つかったら絶対つかまっちゃうよ!
とみんなの顔がこわばります。
その先の竹林までを範囲に決めました。
そして、竹林の中のあずまやが牢屋と決定しました。
牢屋が端っこすぎないかな・・という大人の意見は却下。
すぐ近くにトイレも水道もあることが良いようです。
山を登りお花見広場にも行きましたが、ここはなし。
大人は階段や坂を上るたびにゼーゼーいっていましたが、子どもたちは身軽です。
これなら当日も大丈夫。
菖蒲の湿地までを範囲としましたが、
アスレチックまで範囲に入れようという意見も根強く、
「じゃあ、ミッションをクリアしたら範囲が広がるっていうのはどう?」
という意見にみんな納得。子どもってすごいなぁ!

キャンプ場に戻り、地図をもとにもう一度逃げる範囲をみんなで確認。
携帯を持たない子どもたちがどうやって指令を受け取るかについて話し合いました。
大人のアイディアはあえなく却下。
誰かがどんどん決めるのではなく、
みんなが自分の考えを自由に言っている雰囲気がいいね。
逃げ切った子へのご褒美は「図書カードとか商品券なんてダメかな・・?」
こればっかりは「そんな予算はない!」と大人が主張しました。
子どもが計画・準備をすることなので、稚拙だったり効率的でないことが多くあります。
それでも子どもの発想に驚いたり、責任感に感心したり、
子どもと一緒におもしろがれる大人でありたいと思っています。