NPO法人 緑区子どもサポートセンター
   第42号 平成25年6月

夏を元気に過ごすために 守ろう家族の健康!

                     看護師 藤原紀子さん



日本の夏はじめじめした梅雨と共にやってきます。
病気も自然と高温多湿を好むウィルスや菌が主役となり、強い日差しも強敵となります。
子育てには厳しいこの季節、元気に過ごして良い思い出を残したいものですね。

今回は、「食中毒」「熱中症」「夏風邪とよばれる感染症」を中心に、
子どもだけでなく家族みんなの健康を守るためのお話しをしたいと思います。



『食中毒』の予防3か条をご存知ですか?

1、細菌をつけない
原因となる細菌やウィルスは、生野菜・生の魚介類・肉に接触した手や調理器具から他の食品を汚染していきます。
調理中はまめに手を洗い、包丁やまな板の洗浄もまめに行います。
食器・テーブルを拭く布きんや手拭きのタオルもまめに交換して清潔にしておきましょう。
食品を切る際も野菜から切り始め、肉や魚は最後にしましょう。
細菌をつけないためにはまめさがポイントです。
特にミルクを調乳する前やオムツ交換後の手洗いは念入りに行いしましょう。

2、細菌を増やさない
温度が上昇すると細菌はどんどん繁殖します。
買い物は短時間で済ませ、保冷バッグや保冷剤などを活用しましょう。
調理した食品はすぐに食べるようにし、お弁当は冷ましてからふたを閉めます。
ミルクを作り置きしたり、飲み残しや食べ残しを子どもに与えるのは絶対にやめましょう。
食品を保存する場合、冷蔵1日・冷凍1週間と覚えましょう。
また生の魚介類や肉は4℃以下で保存し、調理する際は食品をよく洗って75℃以上に加熱してから食べましょう。
しっかり加熱するために電子レンジを活用するとよいでしょう。
細菌を増やさないためには温度管理がポイントです。

3、細菌をやっつける
キッチンまわりの消毒には煮沸・熱湯をかける・アルコール拭き・塩素系漂白剤につけるなどの方法があり、
用途により使い分けることができます。
調理器具や哺乳瓶・水筒やお弁当箱だけでなく、布巾やシンク・排水口・冷蔵庫の中も定期的にお手入れしてくださいね。
便利な除菌スプレーやシートを活用すると楽ですよ。

赤ちゃんや幼児は、内臓の機能が未発達で抵抗力が弱いため、
大人が食べて平気なものでも食中毒を起こし、重症になることがあります。
冬であればノロウィルスやロタウィルスが有名ですが、
夏場の食中毒もサルモネラ菌やO‐157、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌といった強力な細菌が秋口まで流行します。
予防3か条で食中毒の季節を乗り切りましょう。


『熱中症』とは・・・

長時間、直射日光を受けて発症する日射病と気温・湿度が高く、
風通しの悪い環境で発症する熱射病を総称して「熱中症」と呼びます。
体がまだ暑さに慣れていない初夏、脱水症の予防を怠りやすい時期に重症事故が多いのも特徴です。

対策その1:水分をしっかり摂りましょう!
水分補給には水や麦茶がおすすめです。
海や川で遊んだり、スポーツをしたり、屋外で大量に汗をかくようなときは乳幼児イオン飲料も用意しておきましょう。
大人向けのイオン飲料は乳幼児のものよりも塩分が少なく糖分が多いので子どもには不向きです。
また、甘い飲み物を飲みすぎると、糖分の摂りすぎやカルシウム・ビタミンB1の不足を引き起こし、
貧血や食欲不振、夏バテにつながるのでご注意ください。
また、授乳中のお母さんは脱水傾向になりやすいので、
自分とお子さんの必要水分を考えて多めに水分補給しましょうね。

対策その2:強い陽射しから身を守ろう!
昼間屋外に出るときは、帽子をかぶり、汗をきちんと吸う素材で風通しの良い服を着ましょう。
帽子をかぶれない抱っこの赤ちゃんはお母さんが素敵な日傘をさしてはいかがでしょうか?
ベビーカーでのおでかけは、車高が低いため路面温度や照り返しの影響をもろに受けます。
フードを広げるのはもちろんのこと、日よけのために薄手の布をフードに下げるなど工夫してみましょう。
シートにクールマット(体温を吸収して発散してくれるゼリー状の物質が入ったもの)を敷くのも良いでしょう。
しかし、抱っこ紐やベビーカーを長時間利用すると、接触する体の特定部位が長く圧迫されることになります。
血流が悪くなったり、オムツかぶれやあせもが出来やすくなるので、
こまめに休憩して自由に動けるようにしてあげましょうね。

対策その3:暑さに負けない元気な体をつくろう!
早寝・早起き、栄養バランスの取れた食事をしましょう。
暑い時間帯のお昼寝は先人の知恵!
子どものお昼寝に合わせて、お母さんも横になって疲れを取りましょう。
また、夏が旬の食材には体を冷やしたり、ビタミンを補う働きを持つものが多いので積極的に取り入れてくださいね。
お風呂に入って体をきれいに!
手洗いは、お出かけから帰ってきた後とお食事の前とトイレの後!
汗をかいたら拭き取り、湿った服はお着替えを!
清潔な体は元気の基本です。

そして、不幸な死亡事故を招かないためにも「車内に子どもだけを放置することは絶対にやめましょう」
車内はエアコンを付けていても、陽射しが入っていたり、後部座席の室温が高くなっていることがあります。
また、保護者がいないことで不安になったお子さんが泣きすぎて脱水を起こしたり、車を出て事故にあったり・・・
子どもは自分の思いや体調の変化をうまく伝えることが出来ません。
大人の想像しない行動にでることも珍しくありません。
子どもを守るのは大人の務めであることを自覚しましょう。


『夏かぜとよばれる感染症』

代表的な夏の感染症には「ヘルパンギーナ」「手足口病」「プール熱(咽頭結膜熱)」があります。

*ヘルパンギーナ*
咳・くしゃみ・便で感染し、38〜40℃の熱が2〜3日続きます。
のどの奥に小さな水泡ができて破れると潰瘍になり、痛みのため水分も摂れなくなることがあります。
潰瘍は1週間ほどで治りますが、食事や水分は刺激が少なく薄味でのどごしの良いものにしましょう。
たとえば、プリンやゼリー、アイスクリーム、冷めたおじや、とうふ、
冷めた味噌汁やスープ、めん類、牛乳、麦茶などがおすすめです。

*手足口病*
咳・くしゃみ・便で感染し、発熱はあまり見られません。
手のひら、足の裏、口の中、お尻、ひざなどに小さな水泡ができます。
口の中の水泡が破れて潰瘍になるととても痛がりますが、1週間ほどで治ります。
食事の注意点はヘルパンギーナと同様です。

*プール熱(咽頭結膜熱)*
咳・くしゃみ、目やにから感染します。
アデノウィルスが原因のため、39〜40℃の高熱が4〜5日続き、
のどの痛みや結膜炎(目の充血や目やに)の症状が見られます。
さらに頭痛・腹痛・吐き気や下痢を伴うこともあります。
症状は1週間ほどでおさまりますが、結膜炎の症状が長引くことが多いようです。
目やには湿らせた布で優しく拭き取り、処方された点眼薬をきちんとさしましょう。
家庭内感染を防ぐためにタオルは完治するまで共用しないよう十分注意してくださいね。

普通の日常生活を送っていれば、病気はつきものです。
保護者の方が子どもの変化に気づき、的確な判断ができれば心配はありません。
自信がなければ、パートナーやおじいちゃん・おばあちゃん、お友だち、
かかりつけ医、公的機関、地域の方などをどんどん頼りましょう。
子どもたちがお友だちとふれあい、楽しい経験や発見を重ね、のびのびと成長することを心から願っています。