NPO法人 緑区子どもサポートセンター
   第32号 平成23年1月

〜パパも一緒に行こうよ〜!〜

  笑っている父親になろう

私たち緑区子どもサポートセンターが緑区内で運営している子育てリラックス館(かまとり・おゆみ野中央)には、毎日たくさんの親子さんが遊びに来られます。
今年4月から12月までに来られた保護者のベ人数は、かまとりでは3771名、おゆみ野中央では4866名です。
しかしそのほとんどは母親であり、父親の来館者数は、かまとりでは110名、おゆみ野中央では118名・・・。
まだまだ少ない現状です。
両館とも第4土曜日には「パパと工作を楽しむ」という企画をし、身近な材料で手作り工作を用意していますが、残念ながらパパたちの参加者数は少ないのです。
女性スタッフの私達は男性の気持ちをつかみきれていないのではないか?
今の若いパパたちはどんな風に子育てをしたいのかな?
イクメンなんて言葉が流行ったけれど、パパたちの現状はどうなんだろう?
もしかしてイクメン神話にプレッシャーを感じているのでは?
疑問は募る・・・。 
そこで今回は、NPO法人ファザーリングジャパン理事で幼稚園教諭をしておられる久留島太郎さんをお招きして、お話をうかがいました。十歳〜四歳までの四人の男の子のパパです。
すでに毎日ご飯一升!と明るく笑う豪快なかたです。
ファザーリングジャパンさんの活動は昨今では全国各地にて展開されていますし、当すきっぷでも代表の安藤氏講演会について掲載しました。
その目指すところ(ミッション)として掲げられている文言がとても素晴らしいので、原文のまま掲載させていただきます。


父親が変れば、
 家庭が変る。
  地域が変る。
   企業が変る。
    そして、社会が変る。


父親であることは楽しい
「よい父親」ではなく
「笑っている父親」を増やすこと

それがファザーリングジャパンのミッションです。

■笑っている父親になるために・・・

一見簡単そうなこの命題も実現させることは意外と難しい。
母親は妊娠や出産を自分の身をもって体験している為、親としての実感を持ちやすいし、昔から定説となっている井戸端会議的な情報交換の場を求めて行動をとりやすいようです。
また、泣いている赤ちゃんが母親に抱かれたとたんに泣き止むというような経験もあるので、自信を持つことも可能です。
しかし、父親はそうはいかないです。
子どもと接する時間も少ないですし、大泣きされたらもうお手上げ状態で、ガラスのハートがボロボロになる・・・。
そこで、ファザーリングジャパンさんの提唱される三つの領域を身に付けることで、
笑っている父親に変身することが可能になる。そう!三種の神器とも言えそうですね。

  パパの極意(三つの領域)

その壱 マインド(子育て意欲を高める)
その弐 スキル(子育て技術を習得する)
その参 知識(育児知識を学習する)
付加  ネットワーク形成(パパ友づくり)

いかにも男性が好きそうな提言です!
脱帽ですね。女性は感情でものごとを訴えがちですので、「なんで手伝ってくれないのよ〜?」とか「そんなオシリの拭き方 ありえない!」とか言ってしまいがちです。

育児の方法や子どもが喜ぶあやし方なんて、学校でも習いませんし、まして兄弟や親戚も少ない現代では子どもと接した経験が無い父親が大半です。
会社の同僚や上司に「オムツ交換って・・・。」などと聞く人も稀でしょうから、知らなくて当然!うまくできなくて当然なのですね。

そしてパパネットワーク形成のためには、メーリングリストやツウィッターなどを上手に使って情報交換をする。
いかにも若いパパたちの現状にマッチしています。
(携帯ばかり見ていて、子どもを見ないとなると本末転倒ですが・・・)

この極意を身に付けて、笑っている父親になれば、それを見ている母親も嬉しいし、誰よりも子どもは嬉しいですよね。子どもが、笑っている人の顔表情を好むということは、新生児の研究でも解明されているのです。

仕事が忙しくって・・・
たしかに現在の社会状況はかなり厳しく、残業も休日出勤も多いようです。
また、子育てリラックス館に来られるママたちからも「シフト制だから夜勤明けで寝てるんです。だから家で子どもが騒げない。」という声もよく聞かれます。
身体を張ってお仕事をしているのに、「仕事と家庭とどっちが大切なのよ〜!」と詰め寄られるのは厳しいですね。

そこで久留島さんはこうおっしゃいます。
「仕事と家庭を天秤にかけないで、寄せ鍋にすればいいんですよ。」
なるほど・・・。天秤にかけたら、必ずや合計は100。50対50もあれば、場合によってはゼロ対百になってしまう。
仕事がゼロも困りますし、家庭がゼロも困ります。
寄せ鍋に入れてしまえば、ファジーなバランスも問題なく、平衡を保つことに神経をすり減らさなくていいですから、父親のプレッシャーも減りますね。
その時によって鍋の中の具材も味も違っていいわけです。
ワークライフバランスが提唱されていてもなかなか実現できないなかで、この寄せ鍋発想は心の支えになりそうですね。

パパも一緒に行こうよ〜
冒頭に書きましたが、こんな身近にある子育て支援施設に父親の来館数が少ないというのはとても残念なことです。

財団法人こども未来財団が平成21年度に行った「地域子育て支援拠点における父親支援に関する調査研究」によりますと、子育て支援施設を利用する父親の理由トップ5には次のような点が挙げられています。
1位 子どもが喜ぶ(31%)
2位 パパ仲間ができる(20・7%)
3位 普段見られない子どもの様子が見られる(20・7%)
4位 自分自身が楽しい(17・2%)
5位 温かく迎えてくれる(17・2%)

他には施設が綺麗・おもちゃが豊富なども挙げられていますが、やはり子どもや父親自身が楽しいことが足を運ぶ原動力となっているようです。
でも休日に「ちょっとパパ〜 ○○ちゃんとリラックス館に行ってきてよ!
その間にお掃除したいから!
たまには一人で買い物もしたいし・・・。
行けば大丈夫!スタッフさんいるから!」とオムツバッグを渡されても、勇気が要りますよね。
実際にそうして入って来られる方はよくおられますが、肩身が狭そうです。

お子さんが2歳をすぎていると、お気に入りのおもちゃを持ってきて使い方をパパに教えたり、中には受付方法や手洗い場所を教えてあげるお子さんもあり、顔を見合わせて笑ってしまう場面も見られます。

男性は意外とガラスのハートをお持ちで、知らない女性たちの中に一人で入っていくことはあまり得意でないようですので、
前もって家族揃って遊びに来て、館内の様子や状況、子どもが好きな遊びなどをママに聞いておいたりするとよいかもしれません。
無理して他の母親やスタッフと話す必要はありません。
いつものままでいいのです。久留島さんはおっしゃいます。

「パパは具体的にやることがあると動きやすいんです。」
何をしてよいかわからない状況でポンと送り出されても困ってしまうのですね。
それなら、館内の状況をよく知っているママの出番!
「アンパンマンの飛び出すおもちゃでフェイントかけると喜ぶよ!」とか
「おもちゃの車用の坂道で遊ぶのが好き」「スタッフさんに頼むと工作用材料くれるから、ちょっと作ってきて〜」など具体的な情報を付けて笑顔で送り出す・・・。

オムツ交換で困っても、自分がトイレに行く時にもスタッフがサポートしてくれるという安心感も添えてあげてください。
また館内で出会う方々も同じ地域にお住いですから、今後幼稚園や小学校、地域の野球やサッカーなどでも顔を合わせるチャンスもあるわけです。
せっかくのご縁を大切に繋がっていただきたいですね。
今年、子育てリラックス館では家族で楽しんだり参加できる企画を考えています。
場所の関係上、おゆみ野中央館での開催が主になりますが、パネルシアターを観る→作る体験や起震車体験など、家族で参加して気軽に遊びに来ていただけるきっかけ作りをしていきたいと思っていますので、ぜひふるってご参加ください。

笑っている父親をふやそう〜